イン aa ドリーム【】
「ありがとう…」


「いえ、では私はこれで…」


と、立ち去ろうとしたところで、「お嬢さん。」と引き留められた。



「お礼にこれを上げよう。」



伸ばす手が震えそうだ。



渡されたのは、手の中にすっぽり入るくらいの黒くて細長い、あのスイッチ。



「きっと役に立つよ。肌身離さずもっているといい。」



それだけ言うと、その人は校門の方へのそりそのりと歩いて行った。



「ええ、知ってますよ。」



掌にのったそれに視線を落とすと、学校のチャイムがなった。

見上げれば、屋上の時計塔が9時を指している。



「急ごう。」






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