イン aa ドリーム【】
不安を抱え、辿り着いた階段の先。


こんなに暑いのに、手を掛けた屋上の重たい扉はひんやりと冷たい。


それを目一杯、ストッパーがかかるまで押し開けて、私はうだる暑さの屋上、時計塔の真下に降りた。


日差しが容赦なく照りつけ、暑さと眩しさにしかめた目に反射的に手で日陰を作った。


太陽に近づいた分、地表にいた時よりも日差しが強さを増したと、"今も"思うのは、きっと気のせいではないだろう。




「良かった…」




右へ傾き、長く伸びた時計塔の影の、丁度屋根部分にあたる所。


ティッシュ箱程の大きさの箱が置いてあった。


安堵の溜め息が地面に突き刺さる。


鞄はドアのところに置き、私は影の中へと、足を踏み入れた。

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