年上彼氏の甘い罠
Prolog


「なぁ、俺たち別れようか。」

えっ?
呼び出しといていきなりそれ?

「なんで?」

私、悪いことしちゃったのかな?
甘えるの苦手だから?


「だって、栞、俺のことそんなに好きじゃないでしょ?」


そんなこと思わせてたのか


「そんなこと・・・・・・・・ないと思う。」

あっ、はっきりないって言った方が良かったのかな?

「ほら、必ず間があるんだよ。俺に好きって言う時とかも。最初は恥ずかしがってるだけかと思ったけど間の開け方が無意識って言うかさ、本心じゃないなって感じてた。」

ごめんなさい。
そんなこと思ってたんだね。

「あと、俺の前じゃ、絶対弱音吐かないし、泣かないだろ?そういうのもあってさ。」

確かに泣いたことも弱音吐いたこともないと思う
そんなの当たり前じゃないの?

「俺はさ、栞の安心できる場所になりたかった。本当に好きだったから本音でぶつかってきてほしかった。」

居心地は良かったよ?
それだけじゃだめってことだよね?

「だから、栞のこと嫌いになる前に別れよう。好きなまま別れさせて。」


そんなこと言われたら

「うん、ごめんなさい。」

っていうしかないじゃん


「ほら、わがままひとつ言わないままなんだね。栞好きだったよ。俺の荷物うちに送って、俺の家にあるのもそっち送るから。」

「うん。」

「話はそれだけ。じゃあな。」

そう言って立ち去って行った
私はやっぱり泣けなかった


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