君がいない世界で、僕はどう笑えばいいんだろう
プロローグ

チャイムが鳴る。
1年と数ヶ月、この校舎で聞いているこのチャイムは、とても鬱陶しい。


「玲、おはよう。」


すでに登校して席についていた美月が、俺にそう言って微笑む。

今日も少し、顔色が良くない。


「はよ。」


「相変わらず眠そう。課題ちゃんとやって来た?」


「やってきたよ、美月に怒られないように。」


「課題やらなくて怒るのは私じゃなくて先生ですー。」


美月と付き合いだしたのは、まだほんの2ヶ月前のこと。

明るくて美人で、誰にでも優しい美月。
もちろん倍率は高かったけど、俺もそこそこ顔はいいし。

なにより、こんなに誰かを好きになったのは初めてで、どうしても、付き合いたかった。


「疲れた顔してる。ちゃんと寝てる?」


美月の頰にそっと触れた。

その手を振り払うこともなく、ただ微笑む。


「寝てるよー、それに疲れてないし!」


美月は、何かを抱えてる。
その何かを、俺はつきとめられない。


本当はすべてを話してほしいし、受け止めてやりたい。けど美月がそうしないのは、、、なぜ?

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