君がいない世界で、僕はどう笑えばいいんだろう


「知ってるよ。」

帰り道、美月は笑顔でそう言った。


「玲が私のことちゃんと知って、好きになってくれたこと、知ってるよ。私はそんな玲だから好きになった。」


緩む頬をどうにかしたい。



「私、顔だけ見て寄ってくる人キライ。でも玲は最初、私に興味なかったもんね。」


中学の頃を思い出す。


入学当初から、目立っていた俺と美月。



男子が可愛いと騒ぐ美月の顔を、俺は知らなかった。
1組と7組、1番離れたクラス。
関わることなんて、ないと思っていた。



その日は、偶然部活が休みで、偶然ゴミ捨て当番で、偶然その場を目撃した。




「ごめんなさい。恋愛にあまり興味なくて。」


そう言って丁寧に頭を下げる。



あぁ、この子が内藤美月か。

パッチリとした二重の目、茶色い瞳、整った顔立ち、中学生と思えないスタイル。


どうりで男子が騒ぐはずだ。



告白した男子が去ると、ヘタッとその場に座り込んだ。



ゴミ庫に向かう俺に気づいて、パッと顔を上げる。










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