君がいない世界で、僕はどう笑えばいいんだろう
いつのまにか俺を追い越して前を歩く美月を見つめた。
「美月ー。」
「ん、なに?」
言って美月が振り向く、長い髪がサラッと揺れる。
綺麗だ。
「なんでもないw」
「なにそれー!あ、そうだ!今日の1限小テストだよ!早く行こ!」
小走りになる美月を追いかけて、俺も駆け出す。
笑っていた。
嬉しそうに、楽しそうに、美月は笑っていた。
「何か悩み事ない?」
本当はそう聞こうと思った。
でも今のみつきを見ていると、それが全て俺の勘違いなんじゃないかと思えてきて。
元気がない日は、誰にだってある。
寝不足な日だって。
珍しいことじゃない。
はずなのに。
美月のことになると、過剰に反応しすぎているのかも知れない。
小テストがあるからか、いつもより早く登校してる奴が多かった。
小走りとはいえ教室まで走ると、流石に息が切れる。
「はぁ、、、はぁ、、、あー、久々に走った。なぁ?美月。」
膝に手をついて肩で息をしている美月は、なにも言わなかった。
「美月?」
瞬間、美月が視界から消えた。