君がいない世界で、僕はどう笑えばいいんだろう
映画を見終わった美月は、ほくほくの笑顔でパンフレットを握っていた。
その姿がただただ可愛い。
「何か飯でも食べて帰るか?」
「ううん、このあと寄らなきゃいけないトコがあるから、ここで解散しよ。」
「あぁ。」
この時間に約束でもあるのか?
思って腕時計をチラッと見ると、20時15分過ぎを指している。
「じゃあまた明日ね、玲。」
美月は手を振りながら、家と逆方向に歩いていく。
「おぅ、じゃあな。」
言いながらその姿を凝視した。
えええ、、、疑いたくないけど、、、これはちょっと怪しくないか?
ダメだダメだと思いながらも、俺の足がゆっくり動き出す。
美月の後ろ姿を追いながら。