君がいない世界で、僕はどう笑えばいいんだろう
五木舞
中学生になった。
みんな仲良しな小学生から、男女の差が意識されるようになる中学生。
私は男子と上手い距離が保てず、少し浮いていた。
「今日リナちゃんに、男子とイチャつくの目障りだからヤメロって言われた。」
帰り道、親友の美咲にそう言った。
美咲は呆れたように笑う。
「リナちゃん、なんだかんだ男子のこと1番意識してるから、羨ましいんでしょ舞のこと。」
お人形さんのように可愛らしいその見た目とは裏腹に、美咲はサバサバしていてドライな性格だ。
そういうところが合うんだと思う。
「そういえば、どう?新しいお義父さん。」
美咲の家は母子家庭で、美咲の中学入学と同時にお母さんが再婚した。
「良い人だよー。まだちょっと慣れないけど。」
変化は、夏休み明けに起きた。
中学最初の夏休み、お互い部活が忙しく、美咲とは一度も会えてなかった。
久しぶりに会った美咲は少しやつれているように見えた。
「美咲痩せた?顔色も悪くない?」
「そうかな?普通だよ。」
言って笑う美咲は、やはりどこか元気がない。
いくら聞いても“大丈夫”とそれだけで、何も言ってくれない。
そんな状態が続いて、1年が経とうとしていた。