君がいない世界で、僕はどう笑えばいいんだろう

五木舞



中学生になった。

みんな仲良しな小学生から、男女の差が意識されるようになる中学生。

私は男子と上手い距離が保てず、少し浮いていた。


「今日リナちゃんに、男子とイチャつくの目障りだからヤメロって言われた。」


帰り道、親友の美咲にそう言った。
美咲は呆れたように笑う。


「リナちゃん、なんだかんだ男子のこと1番意識してるから、羨ましいんでしょ舞のこと。」


お人形さんのように可愛らしいその見た目とは裏腹に、美咲はサバサバしていてドライな性格だ。

そういうところが合うんだと思う。


「そういえば、どう?新しいお義父さん。」


美咲の家は母子家庭で、美咲の中学入学と同時にお母さんが再婚した。


「良い人だよー。まだちょっと慣れないけど。」


変化は、夏休み明けに起きた。



中学最初の夏休み、お互い部活が忙しく、美咲とは一度も会えてなかった。

久しぶりに会った美咲は少しやつれているように見えた。


「美咲痩せた?顔色も悪くない?」


「そうかな?普通だよ。」

言って笑う美咲は、やはりどこか元気がない。

いくら聞いても“大丈夫”とそれだけで、何も言ってくれない。

そんな状態が続いて、1年が経とうとしていた。


< 43 / 59 >

この作品をシェア

pagetop