異世界で学校の王子様が奴隷になっていました
.
「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました」
黒服を着た人が綺麗な仕草で頭を下げている。この人を一言で表すなら紳士
という言葉がふさわしいだろう。
私はそれをどこか冷めた目で見ていた
私の名前はフィリナ・フォン・レイセント
そしてここは一般的に異世界と呼ばれるとこだ。とは言っても私の推測だが。
魔物もいるし魔法もある。さらには獣人や人魚、エルフといった種族が人間
と共存している。
そんな世界の国々の1つ、ファーレストという国の公爵令嬢として私は生ま
れた。
前世は地球にある日本という国のごく普通の高校生だ。
勉強に部活、それなりに充実した日々を送っていた。恋も人並みにしていた。
いや、正確には「している」だろうか。彼――優斗先輩のことは今もなお忘
れられないしこれからも無理だろう。
しかしこの世界に来てしまっては会えるわけもないし、そもそも彼はいわば
その学校の王子様的な位置づけにいる人だった。
平々凡々な位置づけの私では雲の上の存在、という訳だ。
だからといって諦めきれるはずもなく日々悶々とすごしていた所、呆気なく
死んでしまい目覚めたらこの世界だったのだ。
え?死因?
そんな物騒こと聞かないでくれ、思い出したくもない。
< 1 / 24 >