異世界で学校の王子様が奴隷になっていました
な、なにこれは。そんなに痛いの?
直ぐに魔力を流すのをやめた。
はぁ、はぁ、
もう痛みは無いようだけどまだ呼吸があらい。
想像以上の威力に私は手が震えているのがわかった。
心臓がバクバクしている。
しかしそれと同時に胸の奥で気持ちが高ぶっている私はもうとっくの昔に壊れてしまっているのかもしれない。
「成功のようですね。では私共はお暇させていただきます。ありがとうございました」
苦しんでいる優斗とは反対に満面の笑みでそう告げた男達は入ってきた時と同じ扉から退室していった。
おそらく使用人が玄関まで見送るのだろう。
私はそれを確認し家族たちがいる方へ向き直った。
「お疲れ様。これでフィリナも大人の仲間入りだねぇ。今日1日、もちろん今もとても立派だったよ」
そう私に告げたお父様は頭をひとなでして部屋を出ていく。
その言葉にふっと肩の力を抜いた。やっぱりかなり緊張していたらしい。
お父様の言葉をきっかけに次々と人が部屋から出ていく。
どうやら回復したらしい優斗の鎖を引っ張って私も部屋へ向かおうと歩き出す。ジャラジャラと音をたてながら。
「ぁ、あの」
部屋につくと優斗が話しかけてきた。懐かしい声。
そういえばまだまともに会話をしていない気がする。
「なに?」
「ぁ、いや。なんでもないです」
「そう。」
なんなんだ。
とりあえず椅子に座った。前世では触ったこともないような最高級の椅子だ。