異世界で学校の王子様が奴隷になっていました



「気に入った奴隷はございませんでしたか?でしたら次の部屋にご案内致しますが」


「え、まだあるの?」


「はい、あと三部屋ございます」



多すぎやしないだろうかと思いつつ私たちは次の部屋へ向かった。


ガチャッ


先程とさほど変わらないドアを開け中を見るが内装も奴隷の質もそう変わりなかった。


ただしここの奴隷はどれも庶民には一生手が届かない値段だろうが。


牢に入れられている奴隷を1人ずつ見ていくがいいものは無い、そう思った。



ふと1人の奴隷を見た時何か違和感を感じた感じた。


何だろうと見るとそれが何か分かった。


――そう、黒髪なのだ。



この世界の人々は異世界にありそうな髪色そのまんまだ。


元日本人の私からしたら目が痛くなりそうなほど。


そして黒髪がいない。

私もこの世界のお父様お母様の子供だから2人の髪色を受け継いでいる。


そう、この違和感はそれだ。


この世界に黒髪は ありえないと言っても過言ではないのだ。



冷静とは言えない頭でその考えにたどり着き、思わず鉄格子にちかずく。


黒髪の奴隷は自分の方へ向かってきているのがわかったのかビクッと体を揺

らしたが後ろ手にかべと鎖で繋がれているのでそこから動けない。


後ろから爺が主様?と声をかけてきている気がしないでもないがそんなのは知らない。



鉄格子を掴むと私はあることに気がついたと同時に心臓が大きく高鳴った。




あの奴隷、彼に――優斗先輩に似てやしないだろうか。


ふっとそんな考えが頭に浮かんだからもうダメだった。



「ねぇ、あの奴隷の目隠しをとりなさい」


「かしこまりました」



そう言って黒服が牢の鍵を開け中に入っていく。私も思わず一緒に入った。


黒服が驚き振り返るが鋭い視線をぶつけて黙らせる。



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