ニセモノお兄ちゃん
唯人は私がさっき寝かされていた部屋に行った。

「今日から君の部屋ね。ここ。」

「いや、帰る。なにこれ。意味わかんないんだけど。」



「ちっうるせーよぐずぐず言うな女のくせによ。」

咲弥はそういうとこっちを睨んで部屋を出ていこうとした。

私はこの状況への苛立ちと重なり、やけにムカついてしまった。





「おい、てめぇ今なんていった?」


さすがに咲弥も言い返されるとは思っていなかったのか、ふいをつかれたというように驚いていた。


「は、いやなにおま.....」

「こっちの身にもなれよ!お前みてぇなくそ野郎が今日から兄だの家族だの言われてよ、ふざけんなよって!!」


自然と涙が出てきた。



咲弥とやらはこっちも見ずに黙って部屋を出ていった。

その背中は少し丸くなっていた。








「空心、ごめんね。」



唯人が謝ってきた。





「こちらこそ。」

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