嘘つきお嬢様は、愛を希う
「こんな可愛い子、どこで捕まえてきたの? 色男はやるわねぇ、ふふっ」
「っ……!」
つ、捕まえたって……。
おばちゃん相手に否定するのもバカバカしかったのか、理月は「昨日拾った」とだけ答えて、定食を受け取るとさっさと歩いていってしまう。
「あらあらまあまあ、可愛いこと」
くすくすと朗らかに笑ったおばちゃんから、どこかほっとしたような優しい目を向けられる。
「あなたも素敵な相手に出会えて良かったわね」
「えっ……」
明らかに誤解されてる、よね。
素敵な相手どころか、私たちはつい昨日出会ったばかりで……相性も最悪なのに。
けれど理月が否定しなかった手前、下手に否定したら余計な誤解を生みかねない。