嘘つきお嬢様は、愛を希う
私が呆気にとられている間にも、さきほどまで天馬が相手をしていた男たちもろとも見事にダウン。
気づけば私と天馬、理月を囲んで男たちがごろごろと地面に転がっており、あたりが異様な空気に包まれる。
「ったく……面倒な事が起きそうだな」
今まさにその面倒なことが起きていたというのに、理月は何事もなかったかのように前髪をかきあげた。
それから胸ポケからスマホを取り出しどこかに電話をかけると、いまだに状況を飲み込めずにいる私と天馬のもとへ歩いてくる。
「怪我は」
「え、わ、私?」
「お前以外に誰がいるんだよ。男を心配しても仕方ねえだろ、馬鹿」
「え……いやあの、ない、です」
その口から『心配』という言葉が出てきたことに驚いたのは、どうやら私だけではなかったらしい。
ぽかんと口を開けて信じられないものを見るように理月を凝視する天馬を、理月は鬱陶しそうに手で追い払う。