嘘つきお嬢様は、愛を希う


「デリカシーがないのは相変わらずね。まぁいいけど。……で、風汰に瀬良ちゃんも久しぶりだね。元気?」



声をかけられてやっとこっちの世界に戻ってきたらしいふたりは、顔を見合わせてはにかんだ。



「お久しぶりです、サリさん」


「相変わらずな美貌ねぇ……リアル天使だわぁ」



理月といい、このふたりといい、サリさんはどうも胡蝶蘭のメンバーから一目置かれているらしい。


そういえば、と昼の会話を思い出す。


もしかしなくても、あの時言っていたのはサリさんのことだったのではないだろうか。



「それから、天馬くんと桐乃ちゃん?」


「「は、はい!」」



突然声をかけられて、示し合わせたようにハモってしまう私と天馬。


サリさんはおかしそうにくすくす笑いながら、雅さんを見上げた。



「雅の言ってた通り、良い子達じゃない」



雅さんはそれに答えることはしなかったけれど、わずかに目を細めて表情を柔らかくした。

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