嘘つきお嬢様は、愛を希う
「2人とはなんだか初めて会った気がしないね。……とくに、桐乃ちゃんは」
「えと、あの……」
「ただ単に、かつてのあたしと似た状況にいるからってだけなんだけどね。親近感っていうのかな」
「親近感、ですか」
……すごいな、と思う。
雅さんがサリさんを誰よりも大切に想っているのはヒシヒシと伝わるけれど、それ以上に。
一瞬でこの場の雰囲気を塗り変えてしまった彼女の存在そのものが、私にとっては衝撃だった。
こんな人、今まで会ったことない。
サリさんが持つオーラは柔らかながらどこか氷のように冷ややかで、雅さん以上に深い深い闇を背負っている。
まるで、一輪の花のような。
目を離したら消えてしまいそうなくらい、ひどく儚い。
どう返事したら良いのか分からず、サリさんから目をそらしてしまう私を見兼ねたのか、櫂さんが「ところで」と間に入ってくれる。
「雅たちを呼んだのは理月か?」
「……サリさんくらいしかここに呼べる知り合いはいねえからな。それに、今日の事は雅さんにも話しておくべきだろ」
今日のこと、というのは、私が下校途中に華鋼に襲われた件だろう。