嘘つきお嬢様は、愛を希う


「それについてはもう玲汰から情報が入ってる。……正直、予測はしてたけどね」



雅さんの淡々とした声にピクリと反応したのは、意外にも風汰先輩だった。



「……兄さん、元気にしてますか」


「ああ、まあいつも通りかな。仕事する時はするけど、だいたいは寝てる」



そうですか、と風汰先輩はどこか寂しそうに笑う。



「あの兄さんって……今言ってた玲汰さんって人のことですか? 風汰先輩のお兄さん?」



どうしてそんな顔をするのか気になって思わず尋ねると、風汰先輩は「うん」と柔らかく微笑んだ。



「一応はね。色々あって再会したのはつい最近なんだけど……」


「そう、なんですか」



ということは、ずっと会ってなかったってことだよね。


兄弟なのに、と思いながらも、実際私と天馬もそう変わらない状況にいたことを思い出す。

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