嘘つきお嬢様は、愛を希う


「ちなみに玲汰は雅が総長の頃の幹部のひとりだ。今は大翔さんのところで働いてるんだろう?」


「……玲汰はサリに依存してるからね。俺とはまた違った意味で」


「その辺は昔からだろう。いい加減、卒業しても良い頃だろうがな」



黙って聞いていたサリさんは、どこか困ったように苦笑しながら肩をすくめる。



「玲汰は弟みたいな感じなんだよ。しっかり者の風汰と話してると、どっちがお兄さんなのかわかんなくなるし」


「玲汰と風汰を足して2で割ればちょうど良い頃だろうな。玲汰は言うまでもないが、風汰は少ししっかりし過ぎているところがある」



言われ放題の風汰先輩は面食らいながらも笑ってみせるけれど、その笑顔はやっぱりどこか不自然に見える。


……お兄さんの事はあまり触れない方が良いのかな。


簡単には話せないような裏事情が垣間見えて、私はそっと理月へ近づくと服の裾を引っ張った。

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