嘘つきお嬢様は、愛を希う
「ねぇ、サリさんに用事あるんじゃなかったの?」
話題変えなきゃ、と目に力を込めながら訴えると、理月は面倒そうな顔をしながらも小さく息を吐き出した。
「……あー、そろそろ本題に入りたいんで雑談はまた後で」
「あぁ、そうだった。ごめん話しこんで」
「いや」
理月はどうもサリさん相手だと調子を狂わされるらしい。
私に対するキレッキレの意地悪ぶりはどこへいったのか、ずいぶんと歯切れが悪い。
ジトーッと視線を送っていると「なんだよ気持ちわりぃな」と苦虫を噛み潰したような顔を向けてきた。
その顔をしたいのは私だっていうのに。
「──てことで、お前はサリさんと上に行ってろ」
「は?」
「は?じゃねえ。ここからは機密事項だ。テメーみたいな部外者には教えられねえことが沢山あるんだよ。早く行け」
「は、え、ちょっと!?」
ポイッと部屋の外に放り出され、突然のことについていけない私は呆然と廊下で立ち尽くす。
ややあってサリさんも部屋を出てきたけれど、なぜか面白いものを見たように笑いを堪えていて。