嘘つきお嬢様は、愛を希う

「いったいいつ見限られたんでしょうね。でも、あの人にとっての子どもなんてそんなものなんです。後を継がせないのは、たぶん女だから。たとえ血の繋がっていない息子でも、幾ばくかはマシだったんだと思います」



なにもかもどうでも良くなった。


どうして生まれてきたのか、どうしてただただ利用されて生きていなくてはいけないのか、分からなくて。


子どもを道具としか思っていない父も、私を見捨てた弟も、もう二度と守ってはくれない母も。


……見て見ぬふりをする周りの人間も、みんな憎んだ。



「お金がいくらあったって、こんなの生きている意味がない。だから、決めたんです。最後にドカンと暴れてやろうって。……なにもかも、裏切り返してやろうって」



自分で言っていながら背筋がゾッとした。


なんとなく、今この瞬間、自分がやろうとしていることの重みを知ったように思えた。


それなのにサリさんはもう驚いた顔はしていない。


いっさい怖がることもなく、むしろどこか寂しそうにそっと目を伏せた。