嘘つきお嬢様は、愛を希う
「復讐……ってこと?」
「そんな大層なものじゃないですよ。せいぜい自己満足の憂さ晴らしです。私がどう足掻いたところで、あの人は痛くも痒くもないだろうし……結局、思っていたように動けそうにないですから」
今度こそサリさんは怪訝な顔をして首を傾げた。
無理もない。私の話は矛盾だらけだ。
今の話の流れからでは、よく分からなかったんだろう。
「……ここがあまりに温か過ぎて、というか」
「桐乃ちゃん……」
「姉としての良心の方が勝ってしまった、っていうのもあります。天馬、思っていたよりもずっと生き生きしてたから。あの子はもう信じられる人を見つけて、ちゃんと自分の足で生きていってる。この目でそれを見てしまったら、もう邪魔なんか出来ません」
私は天馬を連れ戻すためにここに来た。
だけど、それを実行しなければ、天馬はこの先も自由に生きることが出来る。
自分と弟の未来を天秤にかけて、弟を選んだだけの話。
まぁもちろん、あの人にとってこれは裏切りに違いない。
取引通りに私を誰かと結婚させるだろう。
いわゆる契約結婚を。
……でも、私はそれすらさせる気はない。