嘘つきお嬢様は、愛を希う


そうしたらなにか見つかるような気がするんだ。


私の鎖のついたこの手では触れようとしても決して触れられないような、とてつもなく曖昧なものだけど。


ふと頭をよぎった意地悪な総長の顔を振り払うように、私はぎゅっと手を握りしめながら小さく微笑んだ。



「もし世界がまるごと変わったら、それはきっと私にとって奇跡です。ねえサリさん、そう思いませんか」


「……うん、そうだね。奇跡だよ。でも絶対起こるから。奇跡は必然。偶然じゃない。出逢うべくして出逢った人は、みんなそういうミラクルを持ってきてくれるものだよ。難しいかもしれないけど……人を信じてあげて」


「……ありがとうございます」


この世界は残酷だ。


残酷で、醜くて、抜け殻のようにひどく美しい。


これまでもこれからも、私にとっての世界は、そんなものでしかない。


……そうでなくちゃ、困るのだから。

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