嘘つきお嬢様は、愛を希う
「なにはともあれ、そうして潰された龍靭の残滓どもを吸収して華鋼は組織としてさらに大きくなったわけだ」
「華鋼はうちと違ってタチが悪いですからね。おかげで最近の治安の悪さは過去一ですよ」
声音は穏やかながら、深いため息をつく風汰。
「これ以上厄介事が増える前に、一度ケリをつけた方が良いかもしれませんね」
「ま、たしかに最近の華鋼は調子に乗りすぎだな」
力を求めるがばかりに胡蝶蘭を潰そうとし、隙あらばここらの地区を制圧しようとしている。
おかげで雅さんまで巻き込む羽目になってしまったわけだし、やはり一度大きく力を削いでおくのが懸命だろう。
……あいつが、狙われているのなら尚のこと。