嘘つきお嬢様は、愛を希う


「お日様の……陽だまりの中にいるみたいな。……うん、すごく温かい場所だなとは思うけど」


「……けど?」



ふっ、と口元に微笑が浮かぶ。



「──私には、合わないかもしれないね」



一瞬だけ、キッチンにいる理月の動きが止まったような気がしたけれど、すぐに「そうかよ」と素っ気ない言葉が返ってくる。


自分で聞いてきたくせに、と思いながらも、理月のよく分からないところは出逢った頃からだ。


今更か、と思い直し、私は構わず続ける。



「でも天馬にはふさわしい場所だなって思うよ。あの子にとってここは自分の家そのもので、理月たちは家族同然だもんね。一番求めてたものじゃないかな」



理月が私たちの事情を知っているのかは分からないけど。

< 240 / 370 >

この作品をシェア

pagetop