嘘つきお嬢様は、愛を希う


「……そんな姿見てたら、何となく私も救われたような気になったし」



たとえ半分しか血が繋がっていなくても、やっぱり天馬はこの世でたったひとりの私の大切な弟だ。


離れていた時間の分、曖昧に形をなくしてしまったものがようやく縁取られた今、なおのこと天馬には天馬らしく生きていってほしいと思う。


子どもは親の手駒じゃない。


あの子はちゃんとそれが分かっているんだ。


たとえあの人からの呪縛に囚われようと、それを突っぱねることが出来るのだから。


あの子なら……天馬なら、これから先も心配ない。


それが再確認出来ただけ、私がここに来た意味はあった。


そう素直にそう思えるようになったのだから、私自身もだいぶ気持ちの整理がついたんだろう。

< 241 / 370 >

この作品をシェア

pagetop