嘘つきお嬢様は、愛を希う
「……そんな姿見てたら、何となく私も救われたような気になったし」
たとえ半分しか血が繋がっていなくても、やっぱり天馬はこの世でたったひとりの私の大切な弟だ。
離れていた時間の分、曖昧に形をなくしてしまったものがようやく縁取られた今、なおのこと天馬には天馬らしく生きていってほしいと思う。
子どもは親の手駒じゃない。
あの子はちゃんとそれが分かっているんだ。
たとえあの人からの呪縛に囚われようと、それを突っぱねることが出来るのだから。
あの子なら……天馬なら、これから先も心配ない。
それが再確認出来ただけ、私がここに来た意味はあった。
そう素直にそう思えるようになったのだから、私自身もだいぶ気持ちの整理がついたんだろう。