嘘つきお嬢様は、愛を希う


──たとえ、私がいなくても。


その言葉とよく似た……ひどく寂しい色。



「……私の求めてるものなんて、考えたこともないよ」


「…………」


「だってそれを考えたところで無意味だもん。理月もそうでしょ? テキトーそうに見えて、実は無駄が大っ嫌いだもんね」



さっきの質問に関してもそうだ。


あれがなんの役に立つのかは分からないけれど、きっと何かしら理月の中では引っかかることがあったから聞いたのだ。


そして、今も。



「ねえ、なんでそんなに気にするの。理月にとって私はどうでもいい存在でしかないのに」



……たぶん、なにかしら感づいているから、こうも私の中に入ってこようとするんだよね。


そういうところは、さすがにワケありを抱える胡蝶蘭の総長だけある。

< 243 / 370 >

この作品をシェア

pagetop