嘘つきお嬢様は、愛を希う


「私は、胡蝶蘭の仲間じゃないんだよ」



だからこそ突き放さなければ、と思うんだ。


これ以上、私の中に入ってこないで。


これ以上、私を揺すぶらないで。


これ以上、私の心を引き止めないで。


──そう強い拒絶を込めて理月を見つめ返す。



けれど、私の意に反して理月の瞳は少しも揺るがなくて。



「……バカだな、お前。ほんとバカ」



あろう事か本気で呆れたように溜息をついた。

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