嘘つきお嬢様は、愛を希う
ひゅっ、と私の息を呑む音が静かに響く。
全く身動きがとれないまま、私は呆然と理月を見上げた。
「……関係ねえんだよ」
絞り出すようにそう零した理月は、なんだか今にも泣きそうなくらいに切ない顔で私を睨む。
「お前が胡蝶蘭の仲間だろうがそうじゃなかろうが、俺にとっては正直どうでもいい。むしろ、こんな世界にお前を引き込んで傷つけたくねえ」
「……き、傷つけるって……」
「そういう女なんだよ。俺にとっての、椿桐乃は」
何を言ってるの、と咄嗟に返せなかったのは。
私自身、どこかでその言葉の続きを聞きたかったからかもしれない。