嘘つきお嬢様は、愛を希う


──頼むから。


そう言わせてしまったのは、私の不覚だけれど。


──お願いだから。


そう返すことを、どうか許してほしい。


だって君は、私にとって誰よりも心を許したくない人だから。



「ごめんね」



熱いものが込み上げるのを堪えて、私は笑ってみせた。


はじめて揺れた理月の瞳を振り切るように、私は幹部室を飛び出して部屋へと戻る。


間違ってない。


……そう、必死に言い聞かせて。

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