嘘つきお嬢様は、愛を希う



次の日から、私は学校に行かなくなった。


誰に声をかけられても部屋にこもり続けて、ただひたすらに窓の外にある空を見上げていた。


雲に半分隠れた月は、ひどく悲しげに私の瞳に映る。


もしかしたらおとぎ話のかぐや姫は、月に帰る時こんな気持ちだったのかもしれない。


──ここは、私のいるべき場所じゃない。


分かっていた。


最初から、ずっと。


だからこそ、みんなと近づけば近づくほど焦燥が胸を占めてたまらなくなった。


……理月に惹かれれば惹かれるほど、泣きたくなった。


きっとこんな日が来ることを、あの総長さんはどこかで分かっていたんだろうけど。

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