嘘つきお嬢様は、愛を希う
「……ごめん」
今日は、私が胡蝶蘭にやってきてから
ちょうど20日目の夜──。
「私、もう行かなきゃ」
予定よりもずいぶんと長居をしてしまった。
私が私として生きる最後の時間としては、少し楽しみすぎてしまったかもしれない。
ここ数日引きこもったことで、近づきすぎた皆との距離を、ほんの数歩でもあけられていたら良いのだけど。
「さよなら、みんな」
みなが寝静まったことを確認した私は、なけなしの荷物を全てまとめて胡蝶蘭を出た。
「……ばいばい、理月」