嘘つきお嬢様は、愛を希う
失いたくない
◇理月side
「……くそっ、なんで……なんでなんだよ……っ」
頭の先から足の先までびしょ濡れで、あちこちから血を流し身体中ひどい痣だらけ。
そんな今にも倒れそうな状態で帰ってきた天馬は、緊迫した様子で状況を伝えて一時意識を失った。
そして先ほど悪夢から目覚めるように飛び起きてからは、こうしてずっと自分の太腿を拳で打ち付けている。
とりあえず傷の処置は済ませたものの、その痛みよりもずっと心が悲鳴をあげているようだった。
「……まさか、きりのんが自殺なんて……」
まだ夜さえ明けていないにも関わらず、幹部室には俺を含めた幹部メンバーが揃っていた。