嘘つきお嬢様は、愛を希う


「うるせー」



……何もかも、気に食わない。


……俺はいったいなんでここにいる?


あいつが、今も苦しんでるかもしれねえっていうのに。


あいつが、泣いてるかもしれねえっていうのに。



「──あった」


「なにか見つかったんですか?」



不意に声をあげた櫂さんに風汰が食いつく。



「完全に水没していた上、だいぶ水流に揉まれていたから危うかったが……とりあえず防水機能付きだったのが幸いしたな。──理月、お前の読み通りだったぞ」



……やっぱりな。


櫂さんの報告に舌打ちが漏れそうになる。

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