嘘つきお嬢様は、愛を希う


ならばどうする、と腕を組んだ──その時。



「……なんであんたら、んな冷静なんだよ」



それまで黙っていた天馬が震えた声をあげた。



「──なんで桐姉が死ぬかも知んねえってのに、こんなとこで悠長にしてられんだよっ!!」



目尻に涙を浮かべ、激しい怒りを抑えきれなくなったように飛びついてきた天馬が、俺の胸ぐらを掴みあげる。



「おい天馬やめろっ!」


「なんで……なんで死のうとなんてしたんだよ……姉ちゃん……っ!」



すぐさま風汰が止めようとするものの、天馬は力なく手を緩めて懇願するように俺を見上げた。

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