嘘つきお嬢様は、愛を希う
「──ナメてんのか? もし俺がここで感情のまま胡蝶蘭を動かしてみろ。一瞬でウチは潰されて終わりだ」
「っ……」
「テメーの言うこの悠長な時間はな、桐乃を無事に助けるために設けた"最低限"の時間なんだよ。んなことも分からずただボケーッとしてるように見えんなら、今すぐここから出ていくんだな。そんなヤツ胡蝶蘭には必要ねえ」
乱暴に手を離し、俺は冷たい目で天馬を見下ろす。
瀬良も風汰も櫂さんも止めようとはしない。
ぐっと拳を握りしめて耐える天馬を見守っているだけだ。
「どうする? こっちも総長としての責任があるからな。邪魔するようなら俺は容赦なくテメーを追い出すぞ」
桐乃だけじゃない。
俺は胡蝶蘭を導く者として、天馬、瀬良、風汰、櫂さん、そしてガキども全員分の命を背負っている。