嘘つきお嬢様は、愛を希う
……お前はそれ以上知らなくていい。
心の中で笑いかけ、俺は櫂さんに向き直る。
「櫂さん、頼みがある」
「……なんだ?」
「今日だけでいい。三代目に戻ってくれねえか」
「それはまたとんでもない発案だな。つまり、今日限り三代目を復活させてくれと?」
俺は頷く。
櫂さんは面白そうに片眉をあげながら、なにか考えるような目で俺を見て──やがて「そうだな」と腰をあげた。
そして何故か幹部室の扉の方につかつかと歩いていくと、勢いよく開け放ち苦笑する。