嘘つきお嬢様は、愛を希う


「んじゃ、櫂……俺らも行くか」


「……まあ、今日限りだ。俺には就職が待ってるからな」


「お、どうだ。うちの農家を手伝いに来るってのは」


「断じて有り得ん」



襲ってくるヤツらを片手で葬りながら雅さんを追う柊真さんと櫂さんは、良くも悪くもいつも通りだが。



「ここから先は俺らだけ。気ぃ引き締めんぞ、天馬」


「……は、い」



あやうく存在を忘れるほど、天馬はアジトに入ってから一度も口を開いていなかった。


何かを堪えるように拳を握りしめているあたり、恐らく飛び込んでいきたいのを必死に自制しているんだろう。


……だが、ここから先はより危険な区域だ。


冷静に戦えなければ、最悪命を落とすかもしれない。


どうするか、と目を細めた俺の横を突然何かが横切った。

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