嘘つきお嬢様は、愛を希う


「実はあたしも雅や皆のこと拒絶した事あるんだよね」


「え?」


「そう、このあたしでさえだよ。だってあたしが雅への気持ちを受け入れたのは、自分が本当は死にたくないんだって気づいた時だもん。困ったことにね、人間は追い詰められすぎると、誰かに甘えるなんて考えには至らなくなっちゃうの」



だからこそ、とサリさんは強い光の宿った瞳で俺を射抜く。



「力づくでいい。その手を掴んで引き上げてあげて。大切なら、失くしたくないなら、後悔する前に抱きしめてあげて。心の奥底ではきっと理月のこと待ってるから」



ね?と微笑んだサリさんは、さらりと天馬の手を離し、ゆっくりと雅さんたちが戦う方へと歩いていく。

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