嘘つきお嬢様は、愛を希う


「強がりは強さじゃない。

──それでも、守られるだけの女にはならない。

いつだって、大切な誰かを守れるくらい強くあれ」



ぽつり、ぽつりと呟いて。


彼女は軽やかに地面を蹴った。


雅さんに後ろから殴りかかろうとしていた男の腕をいとも簡単に捻りあげ、そのまま放り投げる。


……かと思ったら、次の瞬間には玲汰さんが対峙していた相手に回し蹴りを喰らわせていた。


地面に足を着くのはほんの一瞬。


まるで宙を舞っているかのような軽やかな身のこなしで、自分は一発も食らうことなく次々と敵を沈めていく。


──伝説の姫。


ああ、こりゃその名に相応しい戦いぶりだ。

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