嘘つきお嬢様は、愛を希う
天馬は大丈夫なのか。
攫われてから、いったいどのくらいの時間が経ったのか。
わからない。
だって、こんなことになるなんて思いもしなかった。
ただ静かに、誰にも気づかれることなく、みんなの前から……あの人の前から消えるつもりだったのに。
あの子が来なければ、今頃私はもうこの世に──。
「……っ」
そこまで考えて、今さら心の底からゾッとした。
全身が凍傷になりそうなくらい冷たい。
指先の感覚がどんどん無くなっていく。
内側から全身を這い回るような寒気が押し寄せて、体が自然とぶるぶると震えて止まらない。