嘘つきお嬢様は、愛を希う


せっかく助けられた命だけれど、こんなヤツらに捕まってしまったのが運の尽き。


どちらにしたってそういう運命だったってことだ。



「……ごめん、みんな……」



思い出したくないのに、頭の中はみんなのことでいっぱいになる。


あの場所は……胡蝶蘭は、まるで陽だまりだった。


──例えば、風汰先輩と瀬良さん。


ふたりはとても優しくて、思えば最初から部外者の私に良くしてくれていた。


私が馴染みやすいように常に気を遣ってくれていたし、仲間思いで下っ端の子たちにも対等に接するから、幹部としての人望も厚い。


──例えば、櫂さん。


櫂さんは時に鋭利な刃のような発言をするけれど、それは決まって胡蝶蘭のためだった。


古株ならではの観察眼や情報網は伊達じゃない。


彼がいるからこそ、理月達は常に最適解で行動出来る。

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