嘘つきお嬢様は、愛を希う


──そして、理月。


胡蝶蘭の五代目総長である彼は、一言でいえば『危険な男』だった。


何かと私をからかって遊んでいるくせに、どんな時でも総長としての自覚を欠かさない。


だけどあの突き抜けた強さの裏側で、心の底から何かに焦がれるような想いを抱いている。


それに本人が気づいるのかいないのかは分からないけれど、きっと周りの人間はみんな知っていた。


瀬良さんも、風汰さんも、櫂さんも。


……私や、天馬でさえも。


だからこそ、私は余計に惹かれてしまったんだ。


彼が隠している優しさや孤独──その先にある『何か』をあの場所で求め続けている理月の姿に。
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