嘘つきお嬢様は、愛を希う


「こっちは全部片付いてるから、心配しないで。とりあえず病院に運んだ方がいい。大翔の車があるから」


「……すみません」


「気にしなくていいから、理月は桐乃ちゃんについていてあげて。……あれ、天馬くんは……あぁ、まだ中ね」



どうしたの?と聞こうとして、察したらしい。


さすがに元胡蝶蘭の姫だけあって、どんな状況でも動じない。



「天馬は後から向かわせるよ。夜が明け切るまえに後処理を終わらせておかないと後々面倒だから、俺たちもここに残る。桐乃ちゃんは頼んだよ、理月」


「何かあったらすぐに連絡してちょうだい」


「──ああ、悪い。あとは頼んだ」



こうやって沢山の人間に支えられて、今の俺がいる。


引き継がれてきたものも、新しく生まれたものもありながら、胡蝶蘭は変わらない。


だからこそ俺は今の総長としての責任がある。

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