嘘つきお嬢様は、愛を希う


「……もっと早く来るつもりだったんだが、なにかと不都合が生じてな。とりあえず状態が落ち着いたから、とようやく会いに来る許可を得れた」


「許可って……誰に? お医者さん?」


「いいや。理月くんだよ」



は?と示し合わせたように私と天馬の声が重なった。



「なんで、理月……?」


「総長が許可を出した……ってことは、まさか親父と総長繋がってんのかよ……!?」



意味がわからない。


説明しろ、と迫る天馬を鬱陶しそうに押しのけ、お父さんは立てかけてあったパイプ椅子を広げて腰をおろす。

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