嘘つきお嬢様は、愛を希う
「……雅さん来てたんすか」
「まあね。相変わらず過ぎて、ちょっと言葉を失ってたけど」
この雅さんが言葉を失うって……!
なんだか得体の知れないものを見てしまったような気がして、顔から血の気が引いていく。
「雅さんには言われたくねえな。で、そのチビはあんたの連れか?」
面倒くさそうにこちらを見る男は、雅さんに匹敵するくらい端麗な顔立ちをしているけれど。
……こいつに、背中を向けたらダメだ。
全身の毛が逆立つほど、私の直感が告げている。
この男は、ここにいる誰よりも危ないやつだって。