嘘つきお嬢様は、愛を希う
雅さんとはまた質の異なる闇深いオーラ。
毛先のはねた黒髪、少しばかり低めの落ち着いた声……そして、なによりもあの瞳。
まるで星のない夜空のような漆黒をたずさえた眼差しに、気を抜いたら今にも呑まれそうになる。
「俺はここに案内しただけだよ。そこの天馬のお姉ちゃんらしいからね」
「へえ? そりゃまた似てねえな」
そう言いながらわずかに頬をゆるめた黒髪の男は、いったい何を思ったか。
つかつかとこちらに近づいてくるなり、雅さんには目もくれず、ひょいっと私を抱き上げた。
驚く暇もなく肩に担がれ、そのまま部屋の中に連れていかれる。