嘘つきお嬢様は、愛を希う
「かじ、や……」
あまりの変わりように呆然とする私を下目に見ながら、彼はふっと不敵な笑みを口元に浮かべた。
「りづき、だ。理月。胡蝶蘭5代目総長の名、その頭にちゃんと叩き込んどけ」
梶谷理月──胡蝶蘭5代目総長。
気づけば廊下にいた面々は部屋に入り、端の方でそれぞれ事の次第を見守っていたようだった。
櫂さんは相変わらずノートパソコンを携えたまま頭を抱え、雅さんは目のやり場に困るというふうに腕を組んだまま壁に寄りかかっている。
天馬は見るからにわなわなと震えて、顔を真っ赤にしたまま直立していた。
そしてもうふたり。
タイミングが良いのか悪いのか、あからさまに異様な空気が流れる部屋に、見知らぬ顔の男たちがなにごとかと顔を出した。