嘘つきお嬢様は、愛を希う

知りたくない





──人には生まれ持った運命がある。


そう言われた時、私は初めて絶望というものを知った。


欲しいものは何もない真っ暗な世界で生きていくことが、いったいどれほど大切なことなのか、私にはわからなかった。


富も名声も地位も、こんな孤独を背負わなければならないのなら必要ない。


私が欲しいのは、ただひとつだけ──。



「……ん」



ふっと浮上した意識に重たい瞼を持ち上げる。


暗闇に淡く浮かぶ光をたどると、壁に取り付けられた小さなアンティークランプが目に止まった。


柔らかな蛍光を放ったそれは、暗闇でほのかな兆しを灯すように優しく揺らいでいる。

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