嘘つきお嬢様は、愛を希う
知りたくない
◇
──人には生まれ持った運命がある。
そう言われた時、私は初めて絶望というものを知った。
欲しいものは何もない真っ暗な世界で生きていくことが、いったいどれほど大切なことなのか、私にはわからなかった。
富も名声も地位も、こんな孤独を背負わなければならないのなら必要ない。
私が欲しいのは、ただひとつだけ──。
「……ん」
ふっと浮上した意識に重たい瞼を持ち上げる。
暗闇に淡く浮かぶ光をたどると、壁に取り付けられた小さなアンティークランプが目に止まった。
柔らかな蛍光を放ったそれは、暗闇でほのかな兆しを灯すように優しく揺らいでいる。