嘘つきお嬢様は、愛を希う
「あの……」
「びっくりしちゃったよね、むさくるしい男たちに囲まれて」
ごめんね、と肩をすくめた彼は、ゆったりとした足取りで私のかたわらへやってきた。
持っていた水の入ったグラスを差し出され一瞬ためらいながらも、ふと喉が乾いていることに気づいて有難く受け取ることにする。
「ありがとうございます……」
「うん、ちなみに俺は忍崎風汰。歳は十八だから、君のひとつ上かな。よろしくね」
「こ、こちらこそ。あの……椿桐乃です」
穏やかな声で微笑まれて、張りつめていた心の弦が少しだけ緩む。
どうして私の年齢を知っているのかはわからないけど、おそらく天馬から聞いたんだろう。
優しい声音に身体から緊張が解れていくのを感じながら、私も小さく微笑み返した。