嘘つきお嬢様は、愛を希う
「ここは胡蝶蘭、ですよね。雅さんは?」
「あぁ雅さんなら帰ったよ。これから用事があるらしいから、君のことはうちが預からせてもらったんだ」
「そう、ですか」
分かっていたこととはいえ、ほんの少し心細さを覚えて、私は顔をうつむける。
「それと伝言。女子供には手を出さないから安心してって言ったのにごめんねって」
「え……」
ああ、そういえば。
意識を失う前、胡蝶蘭の総長だという男に、さんざんからかわれて遊ばれたことを思い出して、顔がかあっと熱くなる。
たしかに手を出さないという言葉には、少々ギリギリのラインだったような……。
そう思いつつも、さすがに驚いた私は半ば感心しながら目を丸くした。